著者のご紹介 食品ジャーナリスト:安部 司

1951年福岡県の農家に生まれる。
山口大学文理学部化学科卒業。総合商社食品課に勤務。
食品および添加物に関わる仕事に従事。

退職後、加工食品の開発や海外(中国、アメリカ、東南アジア地域)においての
食品の開発輸入に携わる。
現在、無添加食品の開発や伝統食品の復興、有機農産物の販売促進に取り組んでいる。
食品添加物の現状、食生活の危機を訴えた「食品の裏側」(東洋経済新報社)は中国、台湾、韓国でも翻訳出版され、70万部を突破するベストセラーとなり
新聞、雑誌、テレビにも取り上げられるなど、大きな反響を呼んでいる。

《取得資格》
農水省有機農業JAS判定員。
経産省水質第一種公害防止管理者。
食品製造関係の特許4件取得。

「食品の裏側」を、食品添加物の元トップセールスマンが明した日本ではじめての本

廃棄寸前のクズ肉も30種類の「白い粉」でミートボールに甦る。
コーヒーフレッシュの中身は水と油と「添加物」だけ。

「殺菌剤」のプールで何度も消毒されるパックサラダ。
虫をつぶして染めるハムや健康飲料・・・・・・。

食品添加物の世界には、消費者には見えない、知らされていない「影」の部分がたくさんあります。
「食品製造の舞台裏」は、普通の消費者には知りようがありません。どんな添加物がどの食品にどれほど使われているか、想像することさえできないのが現状です。

本書は、そんな「食品の裏側」を、食品添加物の元トップセールスマンが明した日本ではじめての本です。

いま自分の口に入る食品はどうできているのか。
添加物の「毒性よりも怖いもの」とは何か。
安さ、便利さの代わりに、私たちは何を失っているのか。

本書は、それらを考える最良の1冊になっています。

単行本: 244ページ
出版社: 東洋経済新報社

以下、目次です。

序章 「食品添加物の神様」と言われるまで

大学を卒業した私は、ある食品添加物の専門商社に入社しました。
食品メーカーや地元の製造工場、個人商店などの得意先に、添加物を販売するのが仕事です。
 
入社したばかりの私の目にまずとまったのは、添加物の化学記号でした。
「亜硝酸ナトリウム」「ソルビンサンカリウム」「グリセリン脂肪酸エステル」「パラオキシン安息酸イソブチル」・・・・・・。
 
もともと大学で化学を専攻していましたから、化学記号にはなじみがありましたが、そういうものが自分たちが口する「食品」に使われているのかと、軽い驚きを感じたものです。
 
しかし、はじめて食品の加工現場を見たときの驚愕は、そんなものではありませんでした。
添加物の「効き目」――それはすごいものでした。
 
暗い土色の原料タラコ。
それが添加物の液に一晩つけるだけで、赤ちゃんの肌のようなプリプリのタラコに変貌するのです。
 
それにたくあん。
ベージュ色のシワシワ干し大根も、一晩添加物につけると、きれいなまっ黄色のたくあんになる。
ポリポリと歯ざわりもよく、誰もが確実においしいと思う味になっているのです。
しかも添加物を使ったことで、従来よりも低塩でできる。
それなら体にもいいのだと、私は心から感心しました。
 
添加物はすごい。魔法の粉だ。
天職にめぐり合えたと思いました。
よし、もっともっと勉強して、日本一の添加物屋になってやろう。
入社したばかりの若い私は意欲に燃えたのでした。

第1章 食品添加物が大量に使われている加工食品

添加物商社に勤めていた時代、「明太子」「漬物」「練り物、ハム・ソーセージ」といった製造会社が私のお得意様でした。
当然ながら、これらの食品にはどれにも大量の添加物が使われています。
もちろん、この3つ以外にも添加物を大量に使う加工食品はいろいろあります。

これらが特別な「三悪商品」といっているわけではありませんし、この3つ以上に添加物を使う加工食品はほかにもあります。
ただこれらの食品に、多くの添加物が使われていることは間違いのない事実です。
また、これらは添加物の効果が如実に現れる食品でもあります。
そこで、まずは一つの代表例として、これらの食品にどれだけの添加物が使われているか、その「舞台裏」を皆さんにお話したいと思います。

皆さんが食べている食品が、どのように作られているか。
それをぜひ知っていただきたいと思います。

第2章 食卓の調味料が「ニセモノ」にすりかわっている!?

「ああ、よかった、まだ売り切れていなかったわ」
夕方、少々慌ててスーパーに駆け込んできたM子さん(37歳)は、残り少なくなった特売しょうゆを手にとって安堵の表情。

今日はしょうゆの特売日です。
「いつも1リットル258円のしょうゆが、月に1度の特売で138円になるの。ウチはいつもこの値段で買っているのよ」
ちょっと得意そうに微笑むM子さん。
なかなか節約上手の奥さんのようです。

しかし、M子さんが購入したこの特売しょうゆ――実は、ずばり「しょうゆ風調味料」に他なりません。
「しょうゆ風調味料」とはなんでしょう。
それは、本物の醤油とは違う製造法で作られた「醤油の代替品」のことです。
「ニセモノ」といっては少し語弊があるかもしれませんが、それでも本物のしょうゆとは全く別物です。

こうした添加物を駆使して作られた「ニセモノ」が、現在、調味料の世界にはびこっています。
私たちの食卓の調味料は、知らないうちに「本物」から「ニセモノ」にすり替わりつつあるのです。

調味料は、料理の味を決定付ける基本です。
和食はいまや世界に誇るすばらしい食文化。
その和食が調味料から崩れようとしている。
これは大変なことではないでしょうか。


昔ながらのしょうゆの原料は、大豆と小麦、塩とこうじです。
こうじから作られた酵素が、大豆や小麦のタンパク質をアミノ酸に、でんぷんを糖分に変えます。
これがしょうゆのうまみの素です。

この「うまみ」は実に多様で、甘みもあれば酸味もある。
こうばしい香りも出る。
化学では解析できないぐらいの複雑な味が醸し出されるのです。
また、しょうゆの色はアミノ酸が糖の一部と結びついてできます。

すべてが麹の力だけでしょうゆを作り出すのです。
手間もかかれば時間もかかる。
出来上がるまでには1年以上かかります。
これが昔ながらのほんもののしょうゆです。

第3章 私たちに見えない、知りようのない食品添加物がこんなにある

先日こんな光景を目にしました。
テイクアウトのできるカフェ。若い女性が、買ったばかりのカップがいくつか載ったトレイを片手に、携帯電話で話しています。
「コーヒー買ったけど、みんなミルクはいくついるのかな?」
おそらく同僚か友人に頼まれて、人数分のコーヒーを買いにきたのでしょう。
「○○さんと△△さんはいない?そっかー、じゃいいや。適当に持っていくよ。どうせタダだから」

彼女の前には、無料で使い放題のコーヒー用ミルクの小容器(ポーション)が山積みになっています。
そのなかから5~6個、無造作につかんで紙袋に入れ、彼女は颯爽と店を出て行きました。

ここで読者の方に質問です。
なぜ「コーヒーフレッシュ」が使い放題なのか、あなたは考えたことがありますか?

私はよく講演などで「コーヒーフレッシュは、何からできていると思いますか?」という質問をします。
皆さん、「えっ、そんなこと考えたこともない」というという少し困った顔をされた後、大半の人が、「牛乳」「生ミルク」などとと答えます。
しかし、結論から言いますと、「コーヒーフレッシュ」は、牛乳(ミルク)や生クリームから作られてはいません。

植物油に水を混ぜ、添加物で白く濁らせ、ミルク風に仕立てたもの――それがあの小容器の「コーヒーフレッシュ」の正体なのです。
植物油を使うことで、牛乳や生クリームを使用するよりもはるかに安くできる。
だから使い放題にできるのです。
そしてそれは、ちゃんと「裏」を見ればわかります。

「植物性油脂、乳化剤、増念多糖類、pH調整剤、着色料、荒涼」
そこにはそんな表示があり、「牛乳(生乳)とは一言も記載されていないはずです。
よく見れば、容器にも「ミルク」とは謳っていない。
「コーヒー用クリーム」「コーヒーフレッシュ」などと表示されています。

「裏」の原材料表示を見ればわかると書きましたが、これは小容器をつめた大袋のみに書かれていて、容器そのものには書かれていません。
後でも述べますが、このように容器や包装が小さい場合(30c㎡以下)は表示しなくてもいいと、食品衛生法で決められているのです。
だから喫茶店やファミリーレストランで出された場合は、「裏」の原材料表示を確かめようがないのです。

第4章 今日あなたが口にした食品添加物

さて、これまでの章では、食品の「裏側」つまりどんな食品にどんな添加物が使われ、そしてどのようにつくられているのかというお話をしてきました。
そこで今度は、それを摂取する側の立場、すなわち消費者である私たちの立場で考えて見ましょう。

さて、ここでも皆さんに質問です。
そもそも私たちは、1日にどのくらいの添加物を口にしていると思いますか?
きっとその量は、皆さんが自分で思っている以上だと思います。

一般的に日本人が摂取する添加物の量は、1日平均10gといわれています。
年間4kgです。
日本人の食塩の摂取量が1日11~12gとされますから、それとほとんど同じ量の添加物を摂取していることになります。
しかし、この数字は人によって、また食生活によって、大きく異なってきます。
自分でも知らないうちに添加物を口にしてしまっていることが往々にしてあるからです。

たとえばコンビニのおにぎり。
どちらかというと添加物はあまり使われていないイメージがあるでしょう。
しかし、ひっくり返して「裏」の表示を見れば、かなりの量が使われていることに気がつきます。

たとえば、昆布の佃煮のおにぎりなら「調味料【アミノ酸等)」「グリシン」「カラメル」「増粘多糖類」「ソルビット」「甘草」「ステビア」「ポリリジン」といった具合です。
また、おにぎりのご飯自体にも添加物が使われています。
甘みを出しておいしくするために「アミノ酸」などの化学調味料や「酵素」が、保存性を高めるために「グリシン」などが入っています。

それ以外にも、パサパサ感をなくし、照り・ツヤを出すために、また、機械で大量生産する際ひとつひとつが機械から外れやすくなり、加えて食べるときにフィルムがするっと抜けるように、「乳化剤」や「植物油」が使われていたりするのです。

「今日はご飯を炊くのが面倒だから、コンビニのおにぎりで済ませましょう」などといっておにぎりを買ってきたら、それだけで10種類近くの添加物を摂取してしまうことになるのです。

第5章 食品添加物で、子どもたちの舌が壊れていく!

いまやインスタントラーメンは「国民食」と呼んでもいいほど、私たちの生活にすっかりなじんでいます。
しかし、そのインスタントラーメンのスープはどのように作られているのか――その裏側を知っている人は少ないのではないでしょうか。


あまり考えたことはないかもしれませんが、「ラーメンスープ」というからには、「しょうゆスープ」「味噌スープ」「とんこつスープ」などを最初につくっておいて、それを濃縮加工して粉末にしているのでは――そう思っている人が圧倒的に多いはずです。

しかし、そうではありません。
そんなことをしていたら、とてもあのような低価格では売れません。
基本的には、本書の冒頭でご紹介した私の実験方法と全く同じ方法、つまり「白い粉(添加物)」を調合して、ラーメンスープを作るのです。

第6章 未来をどう生きるか

これまでの章では、食品添加物について、私しか知りようのない食品業界の「裏側」も交えながらお話しして来ました。
最終章では、このような現状を踏まえたうれで、では私たちはこれからどうすればいいのかについて考えていきたいと思います。

添加物の問題というと、多くの人がまず最初に思い浮かべるのが「毒性」でしょう。
誰もが「添加物は怖い」「体に毒だ」という意識を持っています。
もちろん、添加物の「毒性」は、それはそれで大きな問題ではあります。

前にも述べましたように、厚生労働省ではネズミなどの動物を使ってさまざまな毒性テストを行い、使用量や使用対象の食品を厳しく定めています。
しかし、そもそもネズミと人間の消化能力は違うはずです。
それでも人体実験ができない以上、動物実験の一つの「目安」にするしかなく、その結果をもとに「これは毒性が少ないからOK」などとやっているのです。

それに(これも前に述べましたが)、AとBという2つの添加物を同時にとった場合、あるいは30種類前後の添加物を同時にとった場合、いったい人間の体にどんな影響があるのか――そんな「複合摂取」の問題は完全に盲点になっています。

残念ながら、そんなデータもない。
しかし実際には、これまで見てきたように、一つの添加物を単品でとるということはまずありません。
「複合摂取」が当然なはずなのに、その「毒性」は誰も明らかにしていないのです。

つまり、認可されているすべての添加物の安全が完全に確認されているとは、とてもではないが言えないのが現状です。
昔から使われていて安全性が高いと実証されているものもありますが、その一方で「毒性」が疑問視されるものも、まだまだ少なくありません。

たとえば、よく添加物の本に「これはとくに危険だ!」と載っている添加物に、
「ソルビン酸カリウム」「「パラオキシン安息香酸プチル」「合成着色料」「ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)」といった添加物が数十種類ありますが、これらは化学的に合成された天然に存在しない物質で、とくに厳しく国が管理しているものです。

使用してもいい食品とその量を厳密に定めているのですが、それは逆にいえば、毒性・危険性があまりに高いので、むやみやたらに使ってはいけませんよ、ということなのではないでしょうか。
国が認可しているからといって、絶対に安全だとは必ずしも言い切れないのが、食品添加物の世界なのです。

にもかかわらず――とここが大切なのですが――これほど食品添加物が蔓延しているこの世の中では、私たちの食生活から添加物を「ゼロ」にするのは、現実問題として不可能です。

私たちの食生活において、添加物を使ってつくられる加工食品への依存度は、近年ますます高くなる一方なのは誰も否定できない事実でしょう。
だから、もし添加物がいやなら、それこそ無人島にでも行って自給自足するしかありません。

「添加物は危険だからやめろ!」「あれは、食べてはいけない!」
たしかにそういうのは簡単ですが、それでは何も変わらない。
あれが毒だこれも毒だ、添加物をやめて無添加にせよと、告発するだけでは、前へはちっとも進まないのです。

ですから、「毒性」は避けて通れない問題であるけれども、その危険性だけを扇動して騒ぎ立ててもしかたがない。
それよりも、もっと広い視野で添加物の問題を考えていかなければならないと私は思うのです。

日本では年間約8000人が交通事故で死亡していますが、だからといって車を追放せよという話にはならない――それと同じなのではないでしょうか。

書籍「食品の裏側」食品ジャーナリスト安部司著

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メーカー: 東洋経済新報社
型番: 32094
JANコード: 9784492222669
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